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★Latchkey Child★

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4800番 周左様へ


御題「秋」


散る紅葉に、貴方の言葉を重ね合わす。

紅葉の赤が、好きだといった貴方の言葉を

貴方のために紅をつけて

貴方のために浴衣を着た。

もう秋がすぎる・・・。

次の秋まで、きっと貴方は一緒にはいてくれないから。

病室の窓を見上げ「もう秋も終わりだね」とつぶやく貴方を

ただ、見つめることしかできなくて。

浴衣を着て、ビックリさせることしかできなくて。

そっとくちづけをかわす。

病室の、窓の外のサクラが大輪の花々を咲かせる頃。

貴方はもういないとわかってしまった日から

まるで生き急ぐかのように

ワタシ達は愛を語り合った。

そっと貴方がつぶやく

「もっと生きていたい、もっと同じ季節を一緒に過ごしたい」と。

くちづけをかわしたクチビルは、貴方に残酷なウソをつく。

「もっと生きて、一緒に同じ季節を過ごそう?きっと大丈夫だよ」と。

貴方とワタシの愛は、きっと永遠。

貴方との時間が永遠だと思うから。

きっと、貴方とした全ての時間が永遠なんじゃないかな。

何度目かに訪れた貴方の病室。

大きなビンに、紅葉をたくさん入れて。

貴方の好きな紅を入れて。

美しい空のように、儚げな笑顔で

「綺麗な色だね・・・キミのクチビルみたい」と。

小さな小さなコエで、貴方がつぶやく。

貴方のコエは、どんどん小さくなって。

そのうち、聞こえなくなった。

けれども、コエなんてなくてもワタシ達の気持ちはつうじあっていた。

貴方の最後の言葉

「僕の分も、幸せに。もっとキミを大事に。キミの笑顔が好きだから」と。

散っていくサクラの中で

貴方の残したものと、紅葉のビンをもらったワタシ。

あの秋の日のように

また、2人でくちづける日が来るんだろうとまだ信じてる。

ふりむけば、まだ貴方がいる気がして。

貴方の、冷たいカラダに向かってそっと口づける。

これが・・・貴方の好きな紅色よって・・・。

貴方の好きな口紅をつけた唇で。

冷たいくちづけを交わす。


ねぇ・・・ワタシは・・・。

貴方の好きな笑顔で

きちんと笑えてる?

貴方と一緒に・・・生きていたかった・・・。

でも、貴方がワタシが生きることを望むから。

ワタシは、貴方の好きな紅葉をまた拾う。

貴方が去ってから

何度目かの秋がまた

やってくる。


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